おやじ〈Dear Daddy〉

父の日を前にして一年にいちどくらいは「おとうちゃん」
おやじのことを思い出してみるのも悪くないだろう。

「タチアオイの想い出」で書いたが、残念ながら他には
これという記憶に残る良い話しは無いに等しい。

わたしが子供の頃は、日本全体がものづくりの国だった。
農業であるとか、工業（製造業）が中心であり今のように
業態としてサービス業なんたらというものが多くはなかった。

工場勤めは朝の8時から仕事がはじまり、午後5時に終業と
なる。大手鉄鋼会社に勤めていたおやじは、決まったように
午後6時には家に帰っていた。

いまの季節で午後6時といえば、まだ昼間の明るさである。
午後6時を過ぎると家族揃っての「夕げ」がはじまる。

おやじはいつから晩酌をするようになったか定かでは無いが
2時間も3時間もかけての「夕げ」であった。
お酒を飲む人間に共通して言えるのは、酔いがまわるほどに
なにかにつけ、ぐちゃぐちゃと不平・不満らしきことを言う。

子供である私たちは、要領よくおやじの目の届くところを
避けて別の部屋でそれぞれ自分のことをしていた。

「子は親の背中を見て育つ」とよく言われるが‥。
長男である私は、子供ながら弟や妹たちより家庭のことが
良く解っていたように思う。ずいぶん大人になって考えてみると
酒を飲みながらの「ぐちゃぐちゃと不平・不満」の真相が
わかるようになった。主に仕事のこと、金銭のことである。

「貧乏の子だくさん」と言われるが、まわりを見回しても
どこの家庭も4〜5人の子供がいた時代である。

今や日本は世界でも3番目に出生率の低い国になってしまった。
＊出生率の低い国　1位 ウクライナ 1.1人　2位 韓国 1.2人　3位
　日本 1.25人(05年調)　4位 ポーランド 1.3人　5位 ルーマニア 1.3人

「夕げ」がはじまり、ものの一時間もすると夫婦喧嘩がはじまる。
いつも金銭のことが主である。おふくろは「家計が苦しいから
もう少しお酒を控えて」と常に言い。おやじは「なんでやねん
家計簿つけてるんやったらきっちり見せろ」と問答がはじまる。

母親にすれば内職で、きものの仕立てとか洋服を仕立てたりして
それなりに頑張っていた。唯一、毎晩の大酒による酒代が負担
になっていた。

そのうち大げんかになり、「ちゃぶ台ばーん」の世界にまでなる。
子供の目から「夫婦喧嘩」は悲しくもあり、辛い場面だった。
おやじの姿を見て「じぶんは一生こんな酒飲みにはならへん」酒に
飲まれるような生き方をしないと強く思ったのもこの頃だった。

男は父親に、女の子は母親に似ると言われるが私はどちらに似て
いるか今でも判断できないでいる。
兄弟4人の中でも良く似ている、そっくりだと言われたことが無い。
「みんなそれぞれ、好き勝手な顔をして人生を過ごしている。」笑



'05 今はもうすこし丸くなった。▽・ｴ・;▽



空ちゃん、微妙だねー。おっちょこちいのところ少しは似てネェよ。

このまえのお散歩で、話しかけて歩いていたらとうちゃんの顔をずっと
見ながら歩いていて、どんどん溝に寄っていったのに気づかずに空は、
とうちゃんの顔見たままで「溝にドボン」したよねー。悪



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